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国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代
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20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエ
日本唯一のル・コルビュジエ建築のなかで、
その理念の原点を探る。

 20世紀建築の巨匠ル・コルビュジエ(1887-1965)が設計した国立西洋美術館本館は、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。開館60周年を記念して開催される本展は、若きシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエの本名)が故郷のスイスを離れ、芸術の中心地パリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した時代に焦点をあて、絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど多方面にわたった約10年間の活動を振り返ります。

 第一次大戦の終結直後の1918年末、ジャンヌレと画家アメデ・オザンファンは、機械文明の進歩に対応した「構築と総合」の芸術を唱えるピュリスムの運動を始めました。そして、絵画制作に取り組みながら新しい建築の創造をめざしたジャンヌレは、1920年代パリの美術界の先端を行く芸術家たちとの交流から大きな糧を得て、近代建築の旗手「ル・コルビュジエ」へと生まれ変わります。

 本展はル・コルビュジエと彼の友人たちの美術作品約100点に、建築模型、出版物、映像など多数の資料を加えて構成されます。ル・コルビュジエが世に出た時代の精神を、彼自身が作り出した世界遺産建築の中で体感できる、またとない機会となるでしょう。

開催概要・チケット情報

会期 2019年2月19日(火)~5月19日(日)
※月曜日・5月7日は休館(ただし、3月25日、4月29日、5月6日は開館)
会場 国立西洋美術館 本館
開館時間 午前9時30分~午後5時30分
(毎週金曜日・土曜日は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
受付期間

<早割ペアチケット>
2018/10/15(月)10:00
~11/18(日)23:59

<前売券>
2018/11/19(月)10:00
~2019/2/18(月)23:59

<当日券>
2019/2/19(火)0:00
~5/19(日)15:00

観覧料
  当日券 前売・
団体券
早割
ペアチケット
一般 1,600円 1,400円 2枚で
2,400円
大学生 1,200円 1,000円
高校生 800円 600円
  • 中学生以下は無料。
  • 心身に障害のある方と付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)。
  • 会期中1枚につき1名様1回限り有効。
  • 本券の変更・払戻・再発行は致しません。
  • 今後の諸事情により、開館日、開館時間等を変更する場合がございます。
    最新情報は、展覧会公式サイトにてご確認ください。
    http://www.lecorbusier2019.jp
  • 駐車場はございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください。
主催:国立西洋美術館、ル・コルビュジエ財団、東京新聞、NHK
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、在日スイス大使館、公益社団法人日本建築家協会、一般社団法人日本建築学会
協賛:大日本印刷
協力:日本航空、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン、Echelle-1、西洋美術振興財団
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本展の見どころ

ピュリスムの画家ジャンヌレ――
「ル・コルビュジエ」誕生の前夜

 ピュリスム(純粋主義)の運動は1918年末、第一次大戦が終わったばかりのパリで、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレと画家アメデ・オザンファン(1886―1966)が共同で開いた絵画展によって始まりました。2 人は展覧会にあわせて冊子『キュビスム以後』を発行し、近代の精神を表現する新しい芸術として「ピュリスム」を宣言します。彼らは、近代生活を支える科学が法則に基づくのと同様に、芸術にも普遍的な規則がなくてはならないと主張し、比例と幾何学によって明快な構成を作りあげるピュリスム絵画を二人三脚で追求しました。さらに、彼らは1920年に雑誌『エスプリ・ヌーヴォー(新精神)』を創刊し、機械文明の進歩に対応した「構築と総合」の理念を、芸術と生活のあらゆる分野に浸透させることを訴えました。ジャンヌレはこの雑誌に「ル・コルビュジエ」のペンネームで建築論の連載を行い、1922年には従弟のピエール・ジャンヌレと共同の事務所を開いて、建築家ル・コルビュジエとして本格的に活動を始めます。

 ピュリスムの運動は1925年に幕を閉じ、以後ル・コルビュジエとオザンファンはそれぞれ別の道を進みます。しかし、新しい芸術への情熱に駆り立てられたピュリスム時代の精力的な活動を通じて、スイス出身の無名の青年ジャンヌレは、世界に名を馳せる建築家ル・コルビュジエへと飛躍を果たしたのでした。本展では、オザンファンとの密接な協力関係によるピュリスム絵画の展開をたどり、ル・コルビュジエの造形思考の発展過程を振り返ります。

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ《開いた本、パイプ、グラス、マッチ箱のある静物》1918年頃 鉛筆・グアッシュ、紙 37.5×53.5cm パリ、ル・コルビュジエ財団©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ
《開いた本、パイプ、グラス、マッチ箱のある静物》
1918年頃 鉛筆・グアッシュ、紙 37.5×53.5cm パリ、ル・コルビュジエ財団
©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ《多数のオブジェのある静物》1923年 油彩、カンヴァス 114×146cm パリ、ル・コルビュジエ財団©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ
《多数のオブジェのある静物》
1923年 油彩、カンヴァス 114×146cm パリ、ル・コルビュジエ財団
©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

キュビスムとの共演――
ル・コルビュジエが生きた1920年代パリの美術界

 ピュリスム運動の舞台となった第一次大戦後のパリの美術界では、1910年代初めに注目を浴びたキュビスム(立体派)が第二の隆盛期を迎えていました。キュビスムの絵画は描かれる対象の形を解体して、20世紀初頭の美術に革新をもたらしましたが、第一次大戦直後の時代には、美術界全体を支配した「秩序への回帰」の呼び声に応え、より平明で安定した構成へ向かいました。

 オザンファンとジャンヌレは当初、彼らよりも年長の芸術家たちが生み出したキュビスムを「(大戦前の)混乱した時代の混乱した芸術」と批判して、彼ら自身の先端的な立場を際立たせました。しかし、数年後にはむしろ代表的なキュビスムの芸術家たちの業績を認め、ピュリスムの先駆者に位置づけるようになります。キュビスムの絵画は他の芸術に先んじて近代的精神の表現に達したと、ル・コルビュジエは著作の中でたびたび述べています。彼はキュビスムの芸術家たちと交流を行い、彼らの作品に触発されることで、新しい建築の創造へ向かうための力と励ましを得たのです。

 本展では、第一次大戦後のキュビスムを代表するパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、フェルナン・レジェ、フアン・グリスの絵画と、ジャック・リプシッツ、アンリ・ローランスの彫刻により、ル・コルビュジエが身を置き、多大な刺激を受けた1920年代パリの前衛美術の環境を再現します。これら近代美術の巨匠たちの絵画・彫刻と、ル・コルビュジエの建築空間との融合は、ここ国立西洋美術館でしか見ることができません。

絵画から建築へ――
総合芸術家ル・コルビュジエの多彩な活動

 ル・コルビュジエが最初の著書『建築をめざして』(1923年)に記した「家は住むための機械である」という言葉はあまりにも有名ですが、彼は決して機能が建築のすべてだと考えていたのではありません。合理性・機能性を満たしたうえで、「詩的感動」を呼び起こす造形に達してこそ、建物は「建築」の名に値すると彼は主張しました。建築を近代的な芸術に高めるという理想のもとで、ル・コルビュジエは同時代の美術に深く傾倒し、「ラ・ロシュ=ジャンヌレ邸」(1923-25年)や「エスプリ・ヌーヴォー館」(1925年)において、建築と絵画・彫刻による総合的な芸術空間を作りあげました。

 ピュリスムの時代を経てル・コルビュジエの思想は大きく発展し、絵画から建築、都市計画、インテリア・デザインまで、きわめて広い領域にわたって「近代の精神」の実現をめざす活動が繰り広げられます。しかし、その多彩な活動を常に支えていたのは、人間に自由と幸福を与えるのは芸術であり、建築こそ最も高貴な芸術であるという信念でした。本展では、同時代の優れた芸術家やデザイナーとの協働によるル・コルビュジエの1920年代の広範な業績を、彼自身の作品である国立西洋美術館の空間の中で紹介します。

「エスプリ・ヌーヴォー館」(1925年)Musée des Arts Décoratifs, Paris ©MAD, Paris

「エスプリ・ヌーヴォー館」(1925年)
Musée des Arts Décoratifs, Paris
©MAD, Paris

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ 《エスプリ・ヌーヴォー館の静物》 1924年 油彩、カンヴァス 81×100cm パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ
《エスプリ・ヌーヴォー館の静物》
1924年 油彩、カンヴァス 81×100cm パリ、ル・コルビュジエ財団
©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365

「ラ・ロシュ=ジャンヌレ邸」(1923-25年) Photo Olivier Martin Gambier 2016 ©FLC

「ラ・ロシュ=ジャンヌレ邸」(1923-25年)
Photo Olivier Martin Gambier 2016
©FLC

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