Story
これはまだ昭和と呼ばれた時代。
東京の片隅にアニメの制作スタジオがありました。
『ダァクシャドウ』『秘密の魔法じゅもん』子どもならだれでも知っているアニメ……いいえ、
テレビまんがを作っています。
ところが少し前から、このスタジオは封鎖されてしまいました。
「ロックアウト」というらしいのですが……放送を楽しみに待つ子どもたちに難しいことはわかりません。
そんなある夜、誰も入れない筈のスタジオに動く人影がありました。
カントク、アニメーター、撮影の人、それになぜか声優まで。
出入りを禁止されたスタジオに入り込んで来週放送の『ダァクシャドウ』
最新エピソードをなんとか完成させようとしているのです。
それを阻止しようとしているプロデューサー、そしてガードマン。
夢を紡ぐはずの場所で、本当はみんなものを作る仲間なのに、くだらない諍いが始まろうとしていました。
そこに迷い込んだ一人の脚本家。彼が携えていた一綴りの脚本には、
すべての願いを現実にするという魔法が書かれていたのです。
その魔法の呪文は……
ガン・マビ・レーテ
そして令和の時代。
かつてロックアウトされたアニメスタジオで起きた、とある奇跡の一夜を
舞台で再現しようと奮闘している役者たちがいます。
たった一本のテレビまんがのために命をかける、そんな情熱が、いまのオレ達にあるだろうか、という疑問を持ちながら。
彼らはまだ知らないのです。五十年前のあの夜、本当はなにが起きたのか。
そこには恐ろしく、悲しい物語が秘められていました。
やがて舞台上で奇跡の続きが起こります。それは客席にいるあなたまで巻き込んで……