長塚圭史インタビュー&動画コメント掲載!2007年、ザ・スズナリで1ヶ月のロングラン公演に挑む!あの男たちのさらなる暴走が始まる――。『少女とガソリン』

INFORMATION

[東京公演日]
2007年6月9日(土)〜7月4日(水)
ザ・スズナリ

[発売日程] :プレオーダー、:一般発売
4/10(火)〜4/15(日)   4/21(土)

 

長塚圭史さんから動画メッセージが届きました。

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e+ special interview長塚圭史 from 阿佐ヶ谷スパイダース

 公演ごとに動員数を伸ばし快進撃を続けている、長塚圭史と阿佐ヶ谷スパイダース。待望の新作『少女とガソリン』は、2001年に彼らがザ・スズナリ進出を果たした記念すべき作品『日本の女』と、長塚が朝日舞台芸術賞・芸術選奨新人賞をダブル受賞することになる2004年の『はたらくおとこ』に続く、"暴走する男たちシリーズ"の第3弾となる。
 キャストは長塚と中山祐一朗、伊達暁ら阿佐ヶ谷スパイダースメンバーに加え、シリーズ過去2作品にも出演している猫のホテルの中村まことと池田鉄洋、カムカムミニキーナの松村武、阿佐ヶ谷スパイダース常連の富岡晃一郎と、これまで時代ものでは常連だったアクション俳優の大林勝。今回はこのおなじみの男臭い面々に加えて、ナイロン100℃の看板女優・犬山イヌコと、この作品が初舞台となる下宮里穂子が初参加する。
 どこか退廃したムードの漂う、日本のとある町を舞台に、理想を求めて暴走していく男たち……。
 もちろん今回も作・演出を手がける長塚に、どんな舞台になりそうか、語ってもらった。

アイドルソングを、いいオッサンたちがフリ付きで歌うっていうのをやりたいな、と(笑)

――『日本の女』『はたらくおとこ』に続くシリーズですが、3年ごとにやっているペースですね。

 そうなんですよ。この、おなじみのメンバーでやり終えるたびに「また次もやろう!」って思うんで、このペースで続いていますね。僕のなかでは、これはこれでひとつのチームみたいな感じなんです。

――今回は、ザ・スズナリでの約1ヶ月間のロングランとなります。

 もちろん、大きい劇場がイヤだというわけじゃないんです。でも、スズナリくらいの劇場サイズでやると、お芝居がちゃんとお客さんに伝わるような気がするんですよ。最近よく思うんですが、劇団という形で活動していると、継続する強さみたいなものがありますよね。その一方で、ウチもそうなんですが、こういうプロデュース公演の形態でお芝居をやっていると、いろんな俳優さんと交流できておもしろいし、お客さんも劇場に来やすくなるだろうし、それはそれでいいことだと思うんですけど、劇場としての密度みたいなものが薄れてしまう可能性があって、どこか隙間みたいなものを感じることがあるんですね。劇場というところはもともと、もうちょっとあやしげな空間だった気がするんです。そういう意味で、スズナリっていうのはそういう空間をつくるには絶好の場所だし、メンツもそこで育った人たちだし。しかも、一緒に芝居をするのが3回目になるチームですから。

――プロデュース公演ではあっても、おなじみのメンバーだから劇団っぽい雰囲気もある。

 ええ。だから、あやしい空間としての小劇場を楽しむというか、ちょっと覗き見するような気分で観てほしいですね。

――それで今回の物語としては……清酒工場の男たちに、アイドルがからんでくる話なんですか? タイトルの"少女"はアイドルで、"ガソリン"はお酒のことですよね。

 そうですね。でも、最初なんでこの話思いついたんだっけ……。確か、かなりくだらない思いつきでしたよ。アイドルソングを、俺たちが熱唱するっていうのがやりたかった(笑)。しかも、いいオッサンたちがフリつきで歌うっていうのをやりたいなと。

――そういうシーンが浮かんじゃった(笑)。

 浮かんじゃいましたね。まことさんが歌っている姿を考えただけで、楽しくなっちゃった。でもそれだけじゃダメだから、もうちょっと考えたわけですけど。彼らオッサンたちは仕事としては失敗している状態なんですね。町ではリゾートマンションの開発が進んでいるんだけど、彼らはもともとお酒をつくって働いていたのに、職を失ってしまう。でもその町にとどまったまま、昔からの酒を飲んで過ごしたりしているんです。そこに、アイドルの歌がどうつながるかは、お芝居を観ていただいてのお楽しみ、ということで。

――そのアイドルソングの歌詞は、長塚さんが書かれるんですよね。

 そうです。僕が歌詞を書いて、伊藤ヨタロウさんに曲をつくってもらいます。

――伊藤ヨタロウさんに、曲を依頼することになったいきさつというのは?

 ヨタロウさんとの関係については、おもしろいですよ。実は、僕の親戚なんです。

――えっ、本当ですか?(笑)

 血はつながってないんですが(笑)。僕が子供のころに慕っていた、親戚のお姉さんの、だんなさんがヨタロウさんなんです。

――意外なつながりがあったんですね!

 もともと僕、ヨタロウさんがやっているバンドのメトロファルスが好きなんですよ。それで、いつか一緒に仕事をしてみたいなとは思っていたんです。でも、アイドルソングをヨタロウさんが書くと、なんだかドロッとしそうじゃないですか?

――確かに、そんな印象もありますが(笑)。

 そのドロッとした感じを取り入れつつ、メトロファルス的なちょっと無国籍な感じもその町のムードに合ってくると思う。そこにパンクの要素が入ってもおもしろいなと僕は勝手に思っているんですけど。まあ、そのへんはこれからヨタロウさんと相談してつくっていく予定です。

 

まだ17歳のピュアな女の子を、あのこわいオッサンたちに会わせて、ぐちゃぐちゃにしてやろう! と思っています(笑)

――そして今回は、犬山イヌコさんが初参加されます。

 そうなんです、意外にも初参加なんですよ。犬山さんも、いつか一緒にやろうよって言ってくれていたんです。

――どういう役柄で出ていただくんですか。

 アイドルのマネージャー役です。

――今の時点で、犬山さんにはどういうことを期待されていますか? 

 犬山さんって、ニャースじゃないですけど(笑)、キャラクターの強い役が多いじゃないですか。でも、もともとすごくうまい女優さんなんですよね。それで今回はぜひ、犬山さんにどちらかというとフラットなところで大人の女性を演じてもらえたらと今の段階では思っています。

――そして注目のアイドル役には、下宮里穂子さんを抜擢されました。

 彼女、なんと17歳なんですよ! 映画(『蒼き狼』)には出たことあるけど、舞台は今回が初めてで。会って、話を聞いてみたら、……ものすごく17歳でしたね。

――ものすごく?(笑)

 とてもお芝居が大好きでね。こんなピュアな子に、あのこわいオッサンたちを会わせたらおもしろいだろうなーってことなんですよ。今となっては、なかなか17歳の子に会う機会がないからかもしれないけど、彼女と何気なく話をしているだけでも「本当にピュアなんだなー」ってしみじみ思うことがいろいろあって……「よし、ぐちゃぐちゃにしてやろう!」って思いました。

――(笑)、そこで心洗われたわけじゃないんですね。

 洗われはしませんでしたね(笑)。でも、ぐちゃぐちゃに……って言っても、もちろん、そういう役をやらせたらおもしろいかなってことですよ?(笑) あくまでも芝居のなかで、ですから。

――スパイダースのメンバー以外で、このシリーズでおなじみの3人の魅力もそれぞれ語っていただきたいのですが。まずは、中村まことさん。

 僕らにとって、中村まことってあこがれなんです。これは、人としてではなく。人間としては、だいぶ欠落しているので(笑)。だけど、俳優としては大好きで信頼もしています。僕は彼をちょっとしたカリスマだと思っているくらいですから。それに彼は今、草野球を熱心にやっているので、身体がどんどん若返ってるんですよ。もともと暴走する役をやらせたらおもしろい人なんですが、その上、身体が頑強になり軽やかになったらますますパワーアップするんじゃないかと思いますね。

――その軽やかさを生かした暴走具合に期待、ですね。池田鉄洋さんについてはいかがでしょう。

 実を言うと僕は、イケテツさんの芝居を見たときに嫉妬して俳優を辞めようと思ったことがあるんです。あまりにも強烈で勝てないって思ったんです。そのくらい大好きな俳優さんだし、個人的にもすごい仲良しだし。彼もキワモノ系の役が多いですけど、僕は意外と彼のシンプルな演技も好きなんですね。昔は本当になんとしてでも前に出る、人をつぶしてでも前に出るって人でしたけど(笑)。でもそれでいて、稽古場でみんなが脱線したときに「稽古しようよ」って言ってくれるのはイケテツさんだったりするんです。意外にマジメなんですよ。

――松村武さんについては、どうですか。

 俳優・松村武も、僕は大好きなんですね。もちろん、彼の劇団、カムカムミニキーナの作家という立場ではだいぶ僕とは方向性が違うので、お互いに理解できないところもあるとは思いますけど。でもいつも、きちんと俯瞰でも見てくれていますし。毎回、彼のアドバイスも聞きながら稽古をしている感じがします。役者としては一番、スタンダードなお芝居ができる人だし、みんなもとても頼りにしていますね。

――今回は上演期間中、これまでのシリーズ2作品のビデオ上映会もあるそうですね。

 それってお客さん、ちゃんと入るのかなぁ(笑)。まあ、セットで観てみるのはおもしろい企画だとは思いますよ。物語としては全く関係がないから、芝居を観てから映像を観てもまったく問題ないですしね。ただ、もちろんシリーズっていう認識は僕らのなかには多少ありますけど、お客さんには自由であってほしいですね。

――シリーズといっても、物語が続いているわけでもないですし、登場人物もそれぞれ違いますしね。

 そうなんです。だから、これはあくまでも単体の新作であるってことを理解していただいた上で、さらにもう1歩踏み込んで楽しむためにという意味では、とてもいい企画なのではないでしょうか。

――では現時点で、一番楽しみなことというとどんなことでしょう。

 あのメンバーと再会し、犬山さんや下宮さんも一緒になって稽古をするのがとにかく楽しみですね。あと、彼らのためにこれからどんどんセリフを書いていくことが楽しみです。

――最後に、お客様にお誘いのメッセージをいただけますか。

 今回はパワフルな舞台になると思います。僕らにとっても原点回帰ですし。とにかく、本当に暴走していくつもりなので。それを思いっきり体感できる場所になるはずです。あと、17歳の女の子があのメンツにまぎれて入ってることも、すごくおもしろくなるんじゃないかな。期間は長いんですけど、今回は自由席もありますし。この1ヶ月の間に下北沢に立ち寄った際には、ぜひスズナリを覗いてみてくださるとありがたいですね。

 

長塚圭史 profile

 早稲田大学在学中の1996年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を結成。作、演出、出演の三役をこなす。また、パルコプロデュースでの新作公演『マイ・ロックンロール・スター』、『LAST SHOW』などの「阿佐ヶ谷スパイダース」以外の外部公演への積極的な展開や、マーティン・マクドナー作『ウィー・トーマス』、デビット・マメット作『エドモンド』といった海外戯曲の演出など活動の幅を広げている。2004年に上演された『はたらくおとこ』の作・演出と『ピローマン』の演出が高く評価され、第4回朝日舞台芸術賞と、第55回芸術選奨文部科学大臣新人賞をダブルで受賞する。さらに、2005年の作・演出作品『LAST SHOW』で第13回読売演劇大賞優秀作品賞、2006年の『ウィー・トーマス』で第14回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。夏には、出演の映画『遠くの空に消えた』の公開が控えている。

 

写真/渡辺マコト
取材・文/田中里津子

『少女とガソリン』あらすじ

 かつては清酒の産地として栄えたとある街。環境破壊で地下水が汚染され、清酒工場はどこも閉鎖されてしまった。再開発の波に抗いながら生きる酒を愛する男たち。杜氏や廃工場の元工員である彼らが自分たちの理想として熱狂するのが、平和と平等を掲げた歌詞とキャッチーなメロディラインで絶大な人気を誇るアイドルSであった。
 そんなある日、町の再開発の切り札であるリゾートマンションのレセプションパーティーに、なんとアイドルSがやって来るらしいという情報が舞い込むのだが……。

 

大反響! 長塚圭史オフィシャルブログ
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