![]() |
|
e+ special interview 中川晃教×和央ようか
![]() |
中国四大名作と言われ、誰もが知る物語「西遊記」をミュージカル化した舞台『SUPER MONKEY〜西遊記〜』。シルク・ドゥ・ソレイユの『KA』や『ドラリオン』などで演出助手や振付を務めた林永彪を演出に迎え、数々の著名アーティストに楽曲提供してきた音楽プロデューサーの浅倉大介が音楽を担当。シルク・ドゥ・ソレイユの世界観とアクロバットや京劇、ダンスなどのショー的な要素を融合し、ミュージカルの枠組みを超えた幻想的なエンタテインメント作品がお目見えしそうだ。孫悟空役に中川晃教、孫悟空の分身・美猴闘戦役には和央ようかという、華やかな顔ぶれにも期待が高まる。ダブル主演を務める中川と和央に、本作にかける意気込みを聞いた。 |
「人間とは全く違う、極端な個性を作ることができたら面白いと思いますね」(中川)
![]() |
――まずは「西遊記」という物語の印象を聞かせてください。 中川 僕が「西遊記」を初めて見たのは堺正章さんが猿をやられていたテレビドラマです。それから、アニメの「ドラゴンボール」の孫悟空も「西遊記」を下敷きにしているんだと、少し大人になってから知りました。そういう意味では、身近なところに「西遊記」のストーリーがありました。堺さんの「西遊記」は、子供ながらにすごくワクワクしながら見た覚えがあります。 和央 私も小さい頃、堺さんの「西遊記」を毎週楽しみにしていましたし、最近では香取慎吾さんの「西遊記」も見ていました。私はこのお話が大好きなんですよ。しゃべる猿と河童と豚とお坊様という組み合わせも、すごくファンタジックじゃないですか。しかも、ただ楽しいだけじゃなくて、いいことや悪いこと、道徳的なことも押し付けがましくなく教えてくれる。大人も子供も楽しめる話だと思いますね。 ――孫悟空と、孫悟空の心の分身・美猴闘戦という役どころについてはいかがですか。 |
|
中川 台本がまだなので細かいところはこれからですけど、僕にとって、人間じゃないものを演じることはすごく楽しみなんです。例えば、動きや表情、感情をどのように表現するのか。野性的でダイナミックで、時折キュッと閉じ篭もっちゃうような……人間とは全く違う、極端な個性を作ることができたら面白いと思いますね。 和央 私が今まで見てきた孫悟空は、朗らかで天真爛漫、でもやんちゃですごく悪い方向に突っ走っていって怒られたりしているんです。元々やんちゃなので、悪いところは悪いんですよ。だから、悪いところをクローズアップしたら、とても悪そうな気がするんです(笑)。でも、悪の部分を演じるのは楽しいんじゃないでしょうか。 ――演出の林永彪さんとは、どんな話をされましたか? 中川 林さんはご自身もかつて京劇の俳優として活躍されていた方で、孫悟空をやられた経験があるので、とてもよく理解されているんです。美猴闘戦という役が『SUPER MONKEY』の見せ場のひとつであり、ふたりの違いはそれほど問題ではなく、それぞれの持つストーリーを本当に面白く、今までにない表現でお客さんに見せたいと話してくださいました。僕らへの印象もおっしゃってくださったんですけど、「え? どうして分かるの?」と思うぐらい、ズバッと当ててくるんです(笑)。僕のすごく落ち着きがないところや、明るい部分がすごく猿と合っていると言ってくださって。逆に僕とは真逆の部分を和央さんが持っているんじゃないかなって話していたんです。 和央 私は美猴闘戦にはすごく動いてほしいと言われました。林さんの期待に添えるように頑張りたいとはずっと思っているんですよ。でも、シルク・ドゥ・ソレイユのようにはできないので……。林さんが踊れますよねっておっしゃるんですけど、その踊れるというのは何を基準にしているのかなって(笑)。そこで「はい」とは言えない自分がいるんですね。とはいえ、シルク・ドゥ・ソレイユは人間離れしていてすごいけど、目標としているところは最高のエンタテインメントだと思うんです。そういった意味では、自分の未知の世界と出会えるような気がして、すごく楽しみにしています。 ――林さんにシルク・ドゥ・ソレイユというバックグラウンドがあるだけに、アクロバット的な要素も入ってくるのでしょうか。 中川 もちろん、相当なものがあるんじゃないでしょうか。林さんは自分の中で何ができて何ができないのかを相当細かく確認していくとおっしゃっていて、可能な限り自分のプランを具体化したいという熱意がすごく伝わってくるんですね。それも強引じゃなく、みんなでいいものを作りたいという、リーダーシップを持たれている印象があるのです。僕は一枚の布や紙切れを何にでも見せてしまうところがシルク・ドゥ・ソレイユの特徴のひとつだと思っているんです。だから、劇空間というものを最大限に活用していくんじゃないかな。何もないところから始まって、そこに現れる登場人物や音楽がストーリーや劇場に息を吹き込んでいく。そこに涙や笑い、感動というものがどこまで作れるのかが僕達に課せられていることだと思うんです。それだけに、アクロバットやフライングというものが基礎としてなければならないと、彼と話していてすごく感じました。 和央 私も身体能力を求められているとは感じています。あと、私にはフライングをやってほしいともおっしゃっていましたね。私は以前、フライングで落ちてしまったことがあるので、リベンジ・フライングをしたいなと思っています(笑)。 ――音楽は浅倉大介さんが担当されますが。 中川 この間、ライブを観に行かせていただいたんですけど、浅倉さんは本当に一時代を築き、今なおリードし続けている方だと思うんです。常に新しいプロジェクトをスタートさせているという点では、音楽家というだけじゃなく、プロデューサー的な部分もすごくあり、幅広い知識と表現力を持たれている方なんです。「これ鳴ってるの? これ音楽なの?」というものも、音楽かもしれないし。それぐらい音楽家、演出家も含め、皆さん、幅広い感性を持っている気がしますね。 和央 私も面白い試みだと思いますし、ミュージカルでどんな曲を書いてくださるのか、とても楽しみです。 |
「お客さんが俗世間を忘れて異空間に入っていける、いい作品になるんじゃないかな」(和央)
|
――ダブル主演ということで、お互いへの期待感は? 中川 超期待してます! でも、相手に何かを期待して始まるというよりは、出会いがまずうれしいじゃないですか。もっと遡れば、僕が初めて観た宝塚の作品に和央さんが出ていたことを思い出したんです。この間、『CHICAGO』も拝見したときも、すごくカッコいいなと思いましたし。もっともっと知りたいというのが今の僕の期待ですね。 和央 私はまだ中川さんの舞台を拝見したことがなくて……。でも、本当にすごいと、いろんな方から伺っているので、かなり怯えています(笑)。中川さんとご一緒させていただくことで私がまた新しい自分に出会えそうな気がするし、どういう間柄かはわからないけど、相乗効果でふたりで出せる独特の世界ができたらいいですね。 ――この公演で新たに挑戦してみたいことがあれば教えてください。 中川 僕は京劇をやってみたいです。あと、自分の中にあるものをいい意味で全て無にして、新しく何かを注入することで、表情や今まで表現したことのない動きなどを表現していきたいです。 |
![]() |
|
和央 私は美猴闘戦として、精一杯生きたいなと思ってます。でも、普通に考えると、美猴闘戦は男性がやると思うんですよ。そこになぜ私が選ばれたのか。宝塚の男役でもなし、普通の男性でもなく、普通の女性でもない、私にしか出せないものが見つけられたら。私を選んでくださった何かがあると思うので、それにはお応えしたいです。 中川 絶対に応えられると思う。和央さんは自分を上に引っ張るパワーと、下にグッと引っ張るパワーの両方を持っている気がして……。すごく柔軟なバネを持たれているんです。それが観ていて圧巻ですね。 和央 あまりそう言われると困るんですが(笑)。いろんなことを自分に押し付けると、本来の良さが出なくなると思うから、解き放ってご一緒させていただきながら、ひとつの目標に向かってやっていけたらいいなと思ってます。 ――最後に本作の見どころをお願いします。 中川 ひとつは、お客さんが想像できないところを狙っているんでしょうか。あと、「西遊記」って旅じゃないですか。誰もが人生を旅しているという意味では、自分と重ね合わせて見ることができるんです。旅をして、いろんなことがあって、答えを見つけるという、すごく不変的なロードムービーの要素を用いて、どこまで新しいエンタテインメントとしてお客さんに届けられるのか。予定調和じゃないものがたくさん詰まっているところに、ひとつの魅力を感じてもらえるんじゃないかと思います。また、作り手や演じ手の結果として、明確にすごいと思わせるものがあるはず。例えば、「1枚の絵を見ているようで本当に素晴らしいね」って思わせるものがある作品だと思うのです。ぜひ、そこを観てほしいですね。 和央 やはり「西遊記」は、老若男女、誰もが楽しめる作品だと思います。さらに、林さんが関わってこられたシルク・ドゥ・ソレイユには、その空間に一度入ったら、自分も異空間の中に一緒にいる感覚があるんです。私も小さい頃に見ていた「西遊記」の空間に、ワクワクしながら、一緒に入っていたんですね。だから、客席と一体化できる特別なファンタジーであり、空間になるはず。お客さんが俗世間を忘れて異空間に入っていける、いい作品になるんじゃないかなと思っています。 |
|
写真/渡辺マコト |
中川晃教 profile |
|
2001年「I Will Get Your Kiss」でCDデビューし、20万枚のヒットを記録。第34回日本有線大賞新人賞、ADLIB誌モストブライティストホープ最優秀新人賞受賞。2002年には、ミュージカル『モーツァルト!』の主役を務め、第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、2003年に第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞する。シンガーソングライターとして、コンスタントにライブ活動を行うほか、『SHIROH』『OUR HOUSE』『TOMMY』『エレンディラ』など、ミュージカルや音楽劇に多数主演している。 |
和央ようか profile |
|
元宝塚歌劇団宙組主演男役。2000年宙組トップ男役に就任。宝塚を代表するトップスターとして活躍し、2004年には菊田一夫演劇賞を受賞。2006年『NEVER SAY GOODBYE−ある愛の軌跡―』で退団。退団後、青山劇場と国際フォーラム・ホールAにてコンサートを開催。いずれもチケットは即完売。2007年には初主演映画『茶々―天涯の貴妃(おんな)』が公開され、第3回おおさかシネマフェスティバルにて主演女優賞を受賞。今年10月、日本人キャストで初演となるブロードウェーイミュージカル『CHICAGO』にて主演のヴェルマ・ケリーを演じ、大絶賛を浴びる。 |
出演 cast |
|
|





