本谷有希子インタビュー&動画コメント掲載! 今、最注目の若き才能が、いよいよパルコ劇場初登場! パルコ・プロデュース公演『幸せ最高ありがとうマジで!』

INFORMATION

[公演日・会場]
2008年10月21日(火)〜11月9日(日)
PARCO劇場

[発売日程]:プレオーダー、:一般発売
7/13〜7/21  8/3

本谷有希子さんからメッセージが届きました!

 

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e+ special interview本谷有希子

 2006年、『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を史上最年少(27歳)で受賞。上演作品が次々と岸田國士戯曲賞にノミネートされるほか、小説も三島由紀夫賞や芥川賞候補に選出されるなど、演劇界のみならず、文学界でも注目を浴びている新進劇作家・本谷有希子。次なる一手は劇団以外では、初の作・演出作品となるパルコ・プロデュース公演『幸せ最高ありがとうマジで!』。ヒロインには、本谷原作の映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で好演した永作博美を迎える。共演は、「大人計画」所属でプロデュース公演や映像でも活躍する近藤公園、美少女から大人の女優へと変身を遂げている前田亜季、「劇団、本谷有希子」常連の吉本菜穂子。そして、コメディからシリアスまでこなす演技派女優・広岡由里子、得がたいキャラクターで三谷幸喜作品や劇団☆新感線でも抜群の存在感を見せる梶原善。いよいよ、エッジの効いた本谷の劇世界がパルコ劇場で花開く!

因果よりももっと理不尽な現実を突きつけたい

――初のパルコ・プロデュース公演ですね。

 パルコさんからお話をいただいたときは、「大丈夫か、私」と、一瞬びびったんです。演出家として手がけた作品は、まだ、14本しか公演ないので、キャリア的には不十分かなと思わなくもなかったんですね。でも、「ま、いっか」と思って(笑)。プロデュース公演ですが、内容は自由にまかせてもらっていて、むしろ好きにやってます。でも、私が何を言い出すかわからないから、(周りは)すごくハラハラしながら、ね。「ちょっとそれはやりすぎ」とは、言われるんですけど(笑)。

――パルコ劇場の印象はどうですか。

 パルコ劇場は、人数がけっこう入るわりに、距離を感じさせないですよね。客席が近くに感じられる空間がすごくいいなと思っています。

――今作『幸せ最高ありがとうマジで!』を着想したきっかけは?

 今回は、チラシのビジュアルから浮かびました。私が見たいビジュアルの中に、ものすごくふざけたハートのモチーフに対して、ギラついた顔の人がいるというイメージがあったんです。そういうギラついたものを持っている人を書いてみたいな、と。

――この作品のテーマは何でしょう。

 よく因果応報ってあるじゃないですか。悪いことをしたから悪いことが起こるという。それも元から好きなネタではあったんです。でも、最近はそれよりも何の因果もない人が幸せになれないのには理由がないなって。そういうことに対して、自分がものすごくモヤモヤしたものを持っているんです。弱い人達が損をしたり、幸せになれないのは、何か悪いことをしたからじゃない。それは因果よりももっともっと理不尽だから、その憤りを上手く芝居で突きつけられないかと思いました。

――具体的にどんな話になりそうでしょうか。また、永作博美さん演じるヒロインの役どころとは?

 基本、永作さんありきで動く話になるんです。でも、「見たことがない永作さんを見せたい」という気負いはないですね(笑)。「そんなのは知らん、面白ければいい」という(笑)。世間的にはよく「許す」ことが大人になることだったり、人間が大きくなったとして、良しとされますよね。でも、それがどうしてもできない人は、どうやって生きていったらいいんだろう、と。私も恥ずかしながら、この歳にして、たまに訳もわからず憤ることがあるんです。そういうものを持て余した人達と、上手くスルーできる人達が接触する話を書きたいと思っています。だから、永作さんは、ずるいことや小賢しいことをスルーしなきゃ生きていけないとはわかりつつも、許せない役どころですね。とは言っても、別に彼女がいい人なんじゃなくて、むしろ悪いことをしているのに、相手が自分を許すのは「ちょっと待て」と思うんです。そして、自分は「許したい」と繰り返し思いながら寝るタイプですね。今回、永作さんには、すごく生命力がある女性にチャレンジしてもらいたいと思っています。

みんなが持っている"本質"を疑ってみてほしい

石原さとみ

――タイトルも普段とずいぶん違いますね。

 人が恥ずかしくて口に出せないタイトルがいいなと思って(笑)。私は基本的にリスキーなものが好きなんです。ある意味、これもリスキーなタイトルじゃないですか。タイトル通りに捉えたら、すごくいい人みたいでしょ。「どれだけいい話を書くつもりなの、本谷は」と(笑)。でも、きっとそうではないことをみんなが感じとってくれるといいなという願いを込めて、ポジティブな言葉を並べました。これがダサくなるのか、ありになるのか、なしになるのかは作品次第だと思いますね。

――パルコ劇場であれば、いつもと客層が違うかもしれませんね。

 おばあちゃんがすっごくいい話だと期待して観に来て、「はぁ!?」となって帰ったりしてね(笑)。そんなことがないように、この場で「泣ける話ではないですよ」と言っておかないと(笑)。やっぱり、自分のやりたいことをやりながら、好き嫌いは関係なく、いろんな人が見るに耐えるレベルまで、完成度を上げていきたいです。

――ずばり、本作の見どころは?

 台本がまだなので、何とも言えないんですけど、何かの本質を描こうとしている点に、変わりはないんです。この作品を観て、みんなが持っているものの中の"本質"を疑ってみてほしいですね。

――今回、劇団以外で初の作・演出作品ですが、いつもの『劇団、本谷有希子』との違いは何でしょう?

 違いは……サービスのSですかね(笑)。いつもサービスしているつもりですけど、それよりももっと自己満足じゃないレベルに行って、客層は関係なく、全部ひっくるめて巻き込みたいです。普段、うちが好きで観に来てくれる人に対しては、ある程度「これが好きなんだろ」とわかるんですよ(笑)。いつもはサディストのSなんですけど、今回はサービスのSになります(笑)。だからと言って優しいわけじゃなくて、きっとうちなりの"サービス"になるとは思いますね。

――最後に意気込みをどうぞ!

 プロデュース公演でいろんな人達が集まるけど、この作品を一番作りたいのは私で、一番観たいのは私で、一番愛してるのは私だということを忘れないようにしたいです。「愛してたっけ?」とすぐに忘れちゃうので、忘れずにいることが意気込みですね。

 

本谷有希子profile

 1979 年7月14日生まれ。石川県出身。『劇団、本谷有希子』主宰。俳優や声優活動を経て、2000年9月に劇団を旗揚げ。専属の俳優を持たないプロデュース・ユニットとして、作・演出を手がけている。2006年に上演された『遭難、』で、第10回鶴屋南北戯曲賞を最年少で受賞。2003年『石川県伍参市』、2004年『乱暴と待機』、2006年『遭難、』が岸田國士戯曲賞にノミネートされる。小説家としての活動も開始し、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で三島由紀夫賞候補、『生きてるだけで、愛。』で芥川賞候補となる。

写真/渡辺マコト
取材・文/土橋あずさ

出演

◆永作博美
 1970年生まれ。茨城県出身。テレビ・舞台でかねてより演技力に定評があったが、近年は映画での活躍もめざましく、昨年出演した『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』で、報知映画賞、キネマ旬報ベストテン、ヨコハマ映画祭、ブルーリボン賞、日本映画批評家大賞の5冠に輝き、公開予定作も多数控えている。主な出演舞台に、一人芝居『水物語』、『オレアナ』、『人間風車』、『ふたたびの恋』、『ラストショウ』、『ドラクル』など。

◆近藤公園
 1978年生まれ。愛知県出身。2000年より「大人計画」に参加。以後、話題の映画作品や、舞台ではプロデュース公演のオファーも多い、若手最注目の俳優の一人。劇団公演以外の主な作品に、『キレイ−神様と待ち合わせした女−』、『アイスクリームマン』、『まどろみ』、『羊と兵隊』(08年7月本多劇場)など。

◆前田亜季
 1985年生まれ。東京都出身。1992年、タカラ『ミュー』のCMでデビューし、美少女タレントとして注目される。以後、映画、ドラマを中心に活躍。舞台出演は、『グッバイガール』、『パーパームーン』、『私は誰でしょう』、『まほろば』(08年7月新国立劇場)に続き5作目の出演となる。

◆吉本菜穂子
 1977年生まれ。埼玉県出身。1998年、早稲田大学演劇研究会に参加、2003年まで看板女優として活躍。03年『石川県伍参市』以降、「劇団、本谷有希子」には欠かさず出演している。主な出演舞台に、『1989』、『真昼のビッチ』、『桜飛沫』、『Fabrica[10.0.1]』、『レミゼラブ・ル』など。

◆広岡由里子
 1965年生まれ。千葉県出身。1987年に「東京乾電池」に入団。コメディからシリアスまでこなす演技力には定評がある。2001年からは、ケラリーノ・サンドロヴィッチとのユニット「オリガト・プラスティコ」の活動も開始。主な出演舞台に、『悪霊−下女の恋』、『三人姉妹』、『マダラ姫』、オリガト・プラスティコ『カフカズ・ティック』『西へゆく女』『漂う電球』、『おかしな2人』など。

◆梶原善
 1966年生まれ。岡山県出身。1985年から1994年まで三谷幸喜主宰「東京サンシャインボーイズ」に所属。三谷作品に欠かせない存在であるほか、得がたいキャラクターで多分野で活躍。主な舞台出演作に、『温水夫妻』、『彦馬がゆく』、『髑髏城の七人 アカドクロ』、『吉原御免状』、『Cat in the Red Boots』など。