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e+ special interview 小栗旬
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映画に、テレビドラマに、CMに、そして舞台にと、八面六臂の活躍を見せている小栗旬。出演する作品ごとに目覚しい成長を遂げ、ますます勢いづく彼の、新たな挑戦が『カリギュラ』だ。フランス文学を代表する作家アルベール・カミュの名作を、初めて蜷川幸雄が演出するというこの話題の舞台で、小栗はズバリ、カリギュラ役に扮する。 |
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第一幕のラストシーンを読んだ瞬間に「この役は、俺以外の誰にも絶対にやらせたくない!」って思ったんです。
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――『カリギュラ』の主演が決まって、最初はどんな感想を抱かれましたか? 知らない話だったので、まずは初めて本を読んでみたんですが。もうね、第一幕のラストシーンを読んだ時点で「やろう!」と思いましたね。はっきり言って、一度読んだだけじゃ内容はよくわからなかったんですけど(笑)。 ――セリフとして書かれている文章が美しいんだけど、ちょっと難しくもあり。 美しさもあるけど、セリフの内容が理論対理論の対決みたいなところもあるじゃないですか。もちろん、セリフとしての面白さを伝えることも僕らの仕事だと思うんですけど、それ以外に今回は表現としてのカッコよさもすごく必要だなと思いましたね。特にこの第一幕のラストで、ドラをバンバン叩きながら鏡を割って、「俺はカリギュラだ!」って言うところとか。ホント、この場面は読んだ瞬間、「ああ、これは俺以外の誰にも絶対にやらせたくないな」って思ったくらいです。ただ僕が今、一番心配なのは、勝地涼って役者がね、この作品をちゃんと理解したうえで稽古場に来られるのかどうかってこと(笑)。 ――(笑)。勝地さんとは、とても仲が良いそうですね。 一緒に草野球チームをやってるんですよ。もともと、涼のお兄ちゃんと僕が仲がよくて、一緒に遊ぶようになったんですけどね。 |
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――じゃ、今回共演できるのはうれしい? 初めての共演ですしね。20歳という年齢の男の子の役者のなかでは、彼は芝居のうまさでは抜きん出ている存在だと思うし。この作品で共演できるのは、非常に心強いです。 ――長谷川博己さんや若村麻由美さんとも、初共演です。 長谷川さんは、やはり蜷川さん演出の『キッチン』(2005年)というお芝居でしか観たことがないので、まだその時のイメージしかないんですけど。いろいろな舞台をやられている方なので、ご一緒できるのはとても楽しみです。若村さんはお芝居がすごく上手な方だという話を、昔からいろんなところで聞いていて。ポスターの写真も、ものすごくきれいですよね! ――改めて、蜷川演出の面白さ、やりがい、難しさとは。 蜷川さんの芝居は、エネルギーとの戦いなので。とりあえず自分のなかにそういう、カリギュラの場合だともちろん負のエネルギーもあるけど、愛の深さとかを、稽古中にどのくらい蓄えられるかの勝負だと思う。あと、難しい作品を相手にする時って、どうしても肩に力が入ってしまうんですが、そうするとノドにも力が入って、いい声が客席に届けられなくなる。一番気をつけたいのは、そこかな。きれいな声を客席に届けたいということは、蜷川さんもすごく大事にしている部分ですから。 ――蜷川さん演出の舞台に立つ時、いつも意識していることが、そこですか。 『タイタス・アンドロニカス』(2006年)の時からですけどね。それ以前は、そんなことを考える余裕もなく、ただ目の前にあることを一生懸命やるだけだったんで。 ――『タイタス』以降、小栗さん自身の意識が変わったということですか? 『タイタス』の時に初めて、「あ、こうすれば、声ってラクに出せるんだ」って感覚が少しわかったんです。そういうことなら、ボイストレーナーに通えばいいじゃないかって話ですけど(笑)。僕、あんまりそういうのは好きじゃなくて。 ――(笑)。そうなんですか。 いや、わかってるんですよ、プロとして本当ならばそういうことをしたほうが早道だし、正解だってことは十分わかってはいるんですけど。基本的に、人に教えられるってことがあまり好きじゃないんですよ(笑)。 ――自分で探したい。 そうなんです。だから、今の声の出し方も独自のもので。自分なりに「吉田鋼太郎に負けない声を手に入れたい!」と思って、今も模索し続けている状態なんです。でもこの間、『お気に召すまま』を松本潤くんが観に来てくれて、「セリフまわしが相当うまくなったねー」って。「俺がたぶん今、シェイクスピアのこの台本で、このセリフ読めって言われてもあんなにきれいに読めないや」って言われて。それで一応、自分のやってることはなんとなく形になってきているんだなと。 ――それって、かなりうれしかったんじゃないですか? うん、マツジュンってあまり人のことをホメないタイプだからよけいに(笑)。その代わり、ラストのダンスはふざけてるのかって言われましたけどね。「俺は踊る身として、あれは許せない!」って(笑)。 ――そういえば『カリギュラ』にも"ダンス"という形ではないかもしれませんが、ちょっとした見せ場がありますよね。 原作では「『白鳥の湖』みたいな、バレエダンサーのような格好をしたカリギュラが出てくる」とあったし、新訳のほうでは「あやしいヴィーナスのような格好をして出てくる」って書いてあって。たぶん今回は……、もう全裸ギリギリみたいなレベルになるんじゃないかな。きっと、巨匠はそう考えるんじゃないかという僕の勝手な予想ですが(笑)。今のところ、その巨匠・蜷川さんから言われていることは「とにかくカッコよくしてくれ」と、それだけ。僕自身も、同世代の役者が観に来た時、嫉妬されるような舞台にしたいなとは思いますね。 |
悪役を演じるのはサイコーに楽しい! "怒り"が向かう方向は明確な道が見えるから、とことん突き進めるんです。
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――こういう、徹底した悪役っていうのは演じる場合、気分的にどうですか。 サイコーに楽しいですね! 劇中にも「カリギュラの心を今、支えているものは軽蔑だ」ってセリフがあるんですけど。そういう"怒り"みたいなひとつのくくりだけで、大きく動かせるだけのものがあるから。やさしいとか、おもしろいっていう役の場合は、すごくいろんな要素があってどれをチョイスしても正解だったりするんだけど、逆に"怒り"の場合は。 ――一直線に突っ走れる感じがしますね。 憎悪とか、嫌悪とか、憎しみ、ねたみ、そねみ。怒りの中にも要素はいっぱいあるけど、向かう方向はだいたい同じ。そこに、ひとつ明確な道が見えるから、とことん突き進めるんですよね。『タイタス』でエアロンという役をやった時も、その点がすごく楽しかった。とにかくあの役も、黒人として差別されてきたこと、奴隷として扱われてきたことに対する怒りが一番強くて。その怒りから産み出された自分のパワーが、こんなにも巨大なローマの中でも負けないんだってことを知った時の優越感みたいなもの。そこに純粋に向かえばいいって感じがあって。演じていても、迷いがなかったんです。 ――だからこそ、気持ちがいい。 |
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その点、『お気に召すまま』(2004、2007年)のオーランドーなんて迷いだらけでしたよ。彼も、置かれている立場はすごく自分の中では許せなくて。なぜあんなに素晴らしい父のもとで生まれたのに、こんな人生を送らなければいけないんだってことが、最初のパワーになってると思うんだけど。その怒りの中にある悲劇性は、僕はまだうまくすくえていないなと思った。ただ怒ればいいだけじゃないっていうのが、難しかったですね。 ――カリギュラも、感情の起伏はものすごく激しい役ですね。 これはもう、頭では理解できない世界だと思っているんです、僕は。それこそ「信号が赤でも止まらなくていいんじゃないか」って言っちゃう人だと思うんで。「なんで青で止まっちゃいけないんだ、私は青で止まりたいんだ」って押し通すような人。だから、理解できない部分があってもいいのかなって思うんです。ふだんも、頭で別のことを考えながら人と話していることってあるでしょ。それと同じような感覚がカリギュラにはありそうで、頭の中では全然違うことを考えているんだけど、目の前にいる人たちと丁々発止で返せるだけの頭脳がある。その感覚を自分が体現できたら、すごいことだと思うんですけど…そこまでは相当難しいでしょうね! ――本当に難役ですね。知性も出さなきゃいけないし、怒りも表現しなきゃいけないし、しかもカッコよくなきゃいけない。 やること、いっぱいですよ! だけど今、この24歳という年齢で、この作品をやらせてもらえることは本当に恵まれているなーと思います。これをやりきったら、自分の中のいろんな不安が、少し消えるかも。 ――小栗さんにも不安なんてあるんですか? 今、もう不安だらけですよ! 今まではできないことのほうが多くて、でも目の前のことを一生懸命やるしかないと思ってやってきたんですけど。今は、やってることの量がどんどん増えていて、そのペースも速いから「前と何も変わらないじゃないか」って言われる恐れが、すごく強いんです。観る人たちに対してどんどん放出はしているんだけど、自分の中にインプットができていないから、出すばかり。そうすると、なんだか怖くなってきてしまって。 ――でも、やりたいものがどんどん向こうからもやってくる。 僕、台本読むと、アウトなんですよ。 ――なんでもやりたくなっちゃう?(笑) どんな役でも、台本を読むと、その役を違う人が演じているのを見たくないなーって思っちゃうんです。 ――さっきも、そうおっしゃっていましたね。毎回、そのパターンなんですか(笑)。 そのパターンなんです(笑)。だからマネージャーさんにも「ギリギリまで台本は読ませないで」って頼んでいるんですよ。でもね、マネージャーのかばんに入っている台本を見つけると勝手に読んじゃったりして。スケジュール的に絶対無理と言われても、「いや〜、でも俺、もう読んじゃったから。どうにかしてくんないかなー」ってことに(笑)。 ――(笑)。では最後に、お客様にメッセージをいただけますか。 小栗旬、蜷川幸雄演出の舞台で、初のタイトルロールをやらせてもらいます!(笑)今まではわりと人に助けられながらやってきたんですけど、今回は自分でちゃんと真ん中に立ってなきゃいけない舞台なので。芝居はまだまだ下手くそだけど、立ち姿だけはカッコよくするつもりです。みなさん、ぜひとも優しい目で(笑)、観に来てください! |
小栗旬 profile |
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映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍。ドラマ『GTO』、『救命病棟24時』、『ごくせん』、『名探偵コナン 工藤新一への挑戦状』、『Stand UP!!』、『花より男子』、『花より男子2』や、映画『あずみ』、『あずみ2』、『ロボコン』、『is.A』、『隣人13号』、『ウォーターズ』、『オトシモノ』、『キサラギ』ほか多数に出演。現在、ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系火曜夜9時)に出演。また、今後は主演映画『クローズ
ZERO』(07年10月27日公開)が控えている。 |
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写真/渡辺マコト |
蜷川幸雄が仕掛けるアルベール・カミュの傑作『カリギュラ』! |
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"不条理の哲学"で知られる20世紀のフランス文学界を代表するアルベール・カミュ。第二次世界大戦中に現れた新人が、わずか数年にして早くも世界的な声価を担う作家となり、1957年には43歳の若さでノーベル文学賞を受賞。これは第二次世界大戦後では最年少での受賞となる快挙だった。
<物語>
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