e+ Theatrix! -All the world's a stage-
Information
[公演日]
2010年2月23日(火)〜3月14日(日)
[会場]
Bunkamura シアターコクーン (東京都)
[発売日程] プレオーダー一般発売

これほどまでに長く観客に愛された作品は、後にも先にもないだろう。オンシアター自由劇場の『上海バンスキング』は、間違いなく演劇史に名を残す音楽劇の最高傑作だ。79年、100人も入ればいっぱいの六本木にあった小さな地下劇場“自由劇場”で初演され、その面白さは口コミとなって、あっという間に人気に火がついた。翌年の再演を経て、博品館劇場へ進出、演劇ファンばかりでなく、ミュージシャンらの関心もひきつけ、社会現象となるほどの一大ブームを巻き起こす。映画化され、レコードが出され、舞台となった上海へ、船で劇団員とともにジャズの旅をするという企画も大盛況。「バンスキング」という耳慣れない言葉が、一気に市民権(?)を得てしまった。バンスとは給料の前借のことで、戦前のジャズメンたちが、「バンス」の多さを、逆に誇りにした風潮があったらしい。
『上海バンスキング』で、オンシアター自由劇場は紀伊國屋演劇賞の団体賞を、作者の斎藤憐は岸田國士戯曲賞を受賞している。その大ヒットを経て、オンシアター自由劇場はシアターコクーンのフランチャイズ劇団となり、串田和美は芸術監督となった。シアターコクーンでも、ラスト公演となる94年まで繰り返し上演されたが、初演以来、15年間も全く人気の勢いは衰えなかった。
その伝説的な名作が、ついに16年の沈黙を破って、2010年、華やかに戻ってくる。『上海バンスキング』の魅力は、いろいろある。まず、舞台設定が戦前の上海だ。「魔都」と言われたほど、何が起きても不思議はない、冒険とロマンスの匂いが濃厚に漂う。そして、ジャズ。俳優たちが全員、楽器を奏で、歌う。当時としては画期的な方法だった。クラブでのショウ・シーンの華やかさや楽しさに加え、時に心情を表わす音楽が、随所にある。音楽と演劇の幸福な融合の貴重な例だ。

登場人物たちが、また個性的で面白い。お嬢様育ちのまどか、まどかをだまして上海へジャズ修行にやって来るシロー、博打好きのジャズマン、バクマツ、その恋人で中国人のリリー、クラブを経営するアメリカ人ギャングのガチャンコ・ラリー、まどかを追ってくる左翼青年、謎の中国人老人・・、多彩な人物が、豊かなドラマを紡ぎだしていく。戦争という暗い背景がありながら、自由とジャズをこよなく愛した人たちの、いい加減でたくましくい生き方は、時代を越えて、深く見る者の心をとらえてやまない。
今回の復活に当たっては、単なる復活や懐古趣味ではなく、新たな地平を開くべく、串田は演出プランを持っている。ほぼオリジナル・メンバーが戻ってくるのは、何よりうれしいが、さらにプラスアルファがあるという。新しい『上海バンスキング』が生まれてくるはずだ。
昭和11年(1936)、横浜のダンスホール経営者の令嬢・まどかと、クラリネット奏者のシローが上海に到着する。新婚旅行でフランスへ向かう途中、シローの友人、バクマツのいる上海へ1日だけの予定で上陸したはずだった。しかし、シローはフランスへ行く気など少しもなく、ジャズのメッカ、上海こそが目的だった。バクマツの恋人・リリーがギャングの親分、ラリーの情婦だったことから騒ぎになり、バクマツを助けるために、まどかとシローはクラブで働くことになる。ジャズ三昧の日々が過ぎるうち、やがて戦争の気配が忍び寄り、まどかたちの人生は大きく変化していく。

串田和美

吉田日出子

笹野高史

さつき里香

大森博史

真那胡敬二

小日向文世
