私たちは、何を求めてコンサートに出かけるか。その瞬間にしか味わえない感動や驚きを体験し、そこに居合わせた人々とそれを共有したいからだろう。そう考えたとき、今回のウィーン・フィルの来日公演ほど、私たちを驚かせ、ドキドキとした期待感を募らせるものもないのではないか。

未来の巨匠たちの演奏に立ち会う瞬間

当初指揮する予定だった小澤征爾に代わり、誰がその指揮台にあがるのか、ネット上でも様々な憶測が飛び交った。なにしろ、世界の最高峰に君臨するオーケストラである。「ウィーン・フィルを誰が振るのか?」はクラシック音楽ファンにとって、一大事だ。その指揮者が決まった。エサ=ペッカ・サロネン(52歳)とアンドリス・ネルソンス(31歳)の“若手”二人だ。この起用にも賛否両論巻き起こっているが、ウィーン・フィルのメンバーが認めた指揮者となれば、それはもう世界の頂点に立つ指揮者の証だ。 

思えば、サントリーホールのオープニングで、カラヤンに代わってベルリン・フィルを指揮したのは小澤征爾だった。その小澤は、師カラヤンに並ぶ活躍をみせるまでになった。また、20世紀の巨匠カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの1975年来日公演に当時34歳のムーティが帯同し、77年ロシアの巨匠ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(現在のサンクトペテルブルグ・フィル)に帯同したのは、同じく34歳のヤンソンスだった。彼らも当時は“若手”だったが、いまでは、現代の巨匠として、世界の頂点に君臨する。つまり、本公演は未来の巨匠たちの演奏に立ち会うということになるのだ。こんな機会はそうそうない。 

期待の超大型新星アンドリス・ネルソンス

アンドリス・ネルソンスは、期待の超大型新星だ。まだ31歳だが、すでに、ウィーン国立歌劇場、ベルリン・フィルなど、蒼々たる舞台で活躍、今年、バイロイト音楽祭で《ローエングリン》を指揮するなど、そのキャリアはすでにベテランの域に達している。師ヤンソンス譲りの表情豊かな指揮から繰り出される音楽は若々しく瑞々しい。

フィンランド生まれの俊英指揮者、エサ=ペッカ・サロネンは、ウィーン・フィルとは2008、09年ザルツブルク音楽祭で共演、今年の来日公演の前後にも定期演奏会に登場するなど、関係も良好だ。曲はブルックナーの交響曲から、ウィーン・フィルが日本で初めて披露する第6番と、マーラーの傑作、交響曲第9番という大作。若干20代ながら世界の注目を集めるなか初来日した87年にもブルックナーをとりあげたサロネンだが、第6番は偉大なるブルックナー指揮者オイゲン・ヨッフムの代役として指揮した思い入れのある作品だ。比較的演奏される機会が少ないが、第2楽章アダージョの美しさは筆舌に尽くしがたい。

公演概要

東京公演サントリーホール
日程:
11月1日(月) 19:00開演
指揮:
アンドリス・ネルソンス
曲目:
  • モーツァルト:交響曲第33番 変ロ長調 K319
  • アンリ・トマジ:トロンボーン協奏曲
  • (トロンボーン:ディートマル・キューブルベック)
  • ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 B178「新世界より」
日程:
11月9日(火) 19:00開演
指揮:
エサ=ペッカ・サロネン
曲目:
  • ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「前奏曲と愛の死」
  • ブルックナー:交響曲第6番 イ長調
日程:
11月10日(水) 19:00開演
指揮:
エサ=ペッカ・サロネン
曲目:
  • マーラー:交響曲第9番 ニ長調
料金:
  • S席:¥35,000
  • A席:¥30,000
  • B席:¥25,000
  • C席:¥19,000
  • D席:¥12,000
埼玉公演川口総合文化センター・リリア リリア開館20周年記念事業
日程:
11月2日(火) 19:00開演
指揮:
アンドリス・ネルソンス
曲目:
  • モーツァルト:交響曲第33番 変ロ長調K319
  • ハイドン:交響曲第103番 変ホ長調 Hob.T-103 「太鼓連打」
  • ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調B178「新世界より」
料金:
  • S席:¥35,000
  • A席:¥30,000
  • B席:¥25,000
  • ※C席(¥15,000)、D席(¥10,000)取扱いなし
神奈川公演ミューザ川崎シンフォニーホール
日程:
11月5日(金) 19:00開演
指揮:
エサ=ペッカ・サロネン
曲目:
  • マーラー:交響曲第9番 ニ長調
料金:
  • S席:¥35,000
  • A席:¥30,000
  • B席:¥25,000
  • C席:¥19,000
  • D席:¥12,000

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プロフィール

エサ=ペッカ・サロネンEsa-Pekka Salonen

1958年フィンランドのヘルシンキ生まれ。シベリウス音楽院で数多くの指揮者を育てたヨルマ・パヌラに学ぶ。その後イタリアでフランコ・ドナトーニやニッコロ・カスティリオーニに師事した。79年にフィンランド放送交響楽団を指揮してデビュー。83年にマイケル・ティルソン=トーマスの代役として急遽登壇したフィルハーモニア管弦楽団(ロンドン)におけるマーラーの交響曲第3番が、センセーショナルな成功をおさめ、一躍ヨーロッパ中の注目を集めることとなった。85年から94年にかけて同管弦楽団の首席客演指揮者を務めたほか、スウェーデン放送交響楽団主席指揮者(1985〜95年)、ロサンゼルス・フィルハーモニック音楽監督(1992〜2009年)などを歴任。現在は、ロス・フィルの桂冠指揮者、08〜09年シーズンからフィルハーモニア管弦楽団首席指揮者・芸術顧問の任に就いている。世界各国の一流オーケストラへ客演しており、09〜10年シーズンはニューヨーク・フィルハーモニック、シカゴ交響楽団、マーラー室内管弦楽団、バイエルン放送交響楽団などに客演をしている。また、パトリス・シェローが演出したヤナーチェクのオペラ『死の家から』(新制作)をメトロポリタン歌劇場とスカラ座で指揮した。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とは、08年と09年のザルツブルク音楽祭での共演につづき、10年10月の定期公演に出演する。

アンドリス・ネルソンスAndris Nelsons

1978年ラトヴィアのリガの音楽家の両親のもとに生まれ、トランペットをはじめる。25歳までラトヴィア国立歌劇場管弦楽団のトランペット奏者として活躍した。サンクト・ペテルブルクで指揮をアレクサンドル・ティトフに師事、また、ネーメ・ヤルヴィ、ヨルマ・パヌラのマスタークラスを受講した。 

2002年から同郷の指揮者マリス・ヤンソンスのもとで指揮を学んでいる。03年ラトヴィア国立歌劇場の首席指揮者に就任し数多くのオペラを手掛け、08年バーミンガム市交響楽団首席指揮者兼音楽監督に就任し脚光を浴びることになった。いままでにロイヤル・コンセルトヘボウ管、チューリヒ・トーンハレ管、バイエルン放送響、シュターツカペレ・ベルリン、フランス国立管などに客演、ウィーン国立歌劇場には08年6月『スペードの女王』でデビューし、たびたび登場している。09年バーミンガム市響を率いてBBCプロムス、ルツェルン音楽祭、ベルリン芸術祭に出演し、絶賛された。同年9月にはウィーン国立歌劇場『スペードの女王』を指揮し、コヴェント・ガーデン、メトロポリタン・オペラにもデビューを果たした。10年夏にはバイロイト音楽祭にて『ローエングリン』新演出を指揮、秋にはウィーン・フィルおよびベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との共演が予定されている。

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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:エサ=ペッカ・サロネン/アンドリス・ネルソンス

ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2010 Daiwa House 55th Annivarsary Special